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繰り返すこと

・・・・・造形リトミック研究所ブログ・・・・・

このブログでは、造形リトミック教室での日々のふとした出来事や気づきを記述しています。知的障害や発達障害をもつひとりひとりの生徒さんの学びと成長の姿を共有し、親御さんと共に療育についてゆったり楽しく考えていきたいと思います。
※ここでは親御さんの了承をいただいた記述をお伝えしています※

おはようございます。造形リトミック・国立教室講師の宮本です。

Yousukeくんは中学生のとき、毎週、歌唱造形のメドレーテープにそって10曲の絵を線で描いていました。14,5分かかるでしょうか。彼は必ず「描こう」と言って、グイグイ描いていくのでした。楽しそうで、筆圧に力もあり、クレヨンの色も大胆に変えて心意気のあるものでした。音楽に合わせて、体も少し動いていました。

高校生になって入学式を終えた次のとき、彼は「(メドレーは)いい。」と言い、その月のテーマの絵を描くようになりました。より、正確に描けるようにとトレースを繰り返しました。彩色もなるたけその対象に忠実な色を選びました。

ところが、それから夏を経て秋の終わりころに、彼は再びメドレーの中の1曲、「かお」と言い出しました。今度は、メドレーの中から毎回1曲をだけをスケッチブックに描き、絵の具で彩色するようになりました。

新たに描き始めた絵は以前よりも小さくイラスト風で、色は青の隣に黄色、紫の隣に橙など、補色を組み合わせているかのような生命感があるものでした。

長い時間をかけて繰り返すということは、不思議な変容をもたらすように思います。かつては「その他一般」だったものが、しだいに「自分だけのもの」になってゆくのではないでしょうか。

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