・・・・造形リトミック研究所ブログ・・・・・
このブログでは、造形リトミック教室での日々のふとした出来事や気づきを記述しています。知的障害や発達障害をもつひとりひとりの生徒さんの学びと成長の姿を共有し、親御さんと共に療育についてゆったり楽しく考えていきたいと思います。
※ここでは親御さんの了承をいただいた記述をお伝えしています※
おはようございます。造形リトミック・国立教室講師の神原です。
Sくんは、私が担当した当初は自発語がなく、意思表示もあまりありませんでした。「選ぶ」ということが難しく、歌唱造形で何を描くかは、いつも講師が選んでいました。
今月も「カブトムシにしようか・・・」とこちらで思いつつ、それでも「Sくん、この中で何を描こうか?どれが好き?」と聞いてみると、Sくんは小さい声ですが、はっきりと「・・・クワガタ」と答えました。
(うわぁ!)
「Sくん、描こう描こう!クワガタ!!クワガタがいいよね!」
そして授業の報告時、お父様からおうちで飼っているクワガタのことをお聞きしたのです。
壁に貼ってある4種類の虫たちの中で、Sくんは、今おうちにいるのはこの虫(クワガタ)で、それが、「クワガタ」という名前で、そして今日は、そのクワガタを描きたい、と思って、「クワガタ」と言ってくれたのですね。うれしい!
「来週は、ぜひ、クワガタの工作をしましょうね!」と、紙工作のクワガタを見せると、Sくんは「・・・うん」とうなずきました。
この「うなずき」も、ここ数回の授業のやりとりの中で出てきている変化です。これまでは、私の言ったことを復唱するだけでした。
Sくんが「・・・クワガタ」と答え、「・・・うん」とうなずいたことは、この何ヶ月間感じていた、彼の中で育ちつつある力を示す、小さくて、大きい出来事でした。
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